導入事例

華岡青洲記念病院様 循環器レポートシステム「Kada-Report」の「植込みデバイス遠隔モニタリング連携」の活用で
患者管理業務を効率化

華岡青洲記念病院様

北海道札幌市豊平区の華岡青洲記念病院(華岡慶一理事長,病床数57床)は、2016年に有床クリニック(19床)として開院。2019年には診療科および手術設備などを拡充して病院化を図り、現在は循環器疾患全般に専門的な医療を提供している。同院では、血管撮影装置の動画や台帳管理・レポート作成のシステムとして、フォトロン メディカル イメージング株式会社の「Kada-Solution」を開院時から導入し運用している。カテ台帳やレポートの作成を行う「Kada-Report」は、ローコード開発プラットフォームClaris FileMakerを用いて開発されており、同院では不整脈治療に対する心臓植込み型電気デバイス(cardiac implantable electronic devices:CIEDs)の遠隔モニタリングの患者管理に、Kada-Reportのオプション機能である「植込みデバイス遠隔モニタリング連携(以下,遠隔モニタリング連携)」を利用している。CIEDs患者管理の運用を中心に、放射線部技師長の近藤優一氏、臨床工学部の平田和也氏、田村隆始氏に取材した。

※月刊インナービジョン2026年3月号からの転載文

導入製品

モダリティを横断して動画、静止画を統合参照

華岡青洲記念病院は、循環器内科・心臓内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線診断科を標榜し、虚血性心疾患、不整脈、心不全、末梢動脈疾患、弁膜症、大動脈瘤、静脈瘤などの治療を提供している。高度な診療を支える医療機器として、ハイブリッド手術室を含めた2つの手術室、血管撮影装置2台、Area Detector CT3台、3T MRI、循環器用超音波診断装置などを備えている。
画像情報は、動画はKada-Solutionで、CTやMRIなどの静止画は(株)ジェイマックシステムの「XTREKシリーズ」で管理されている。電子カルテシステム〔MI・RA・Is,(株)シーエスアイ〕を中心として、静止画と動画をシームレスに参照できる環境を構築した。各サーバを連携して、マトリクスビューワからサムネイルをクリックして参照が可能になっている。近藤氏は画像参照について、「画像だけでなく検査結果のレポートを含めて1つの端末で、システムを切り替えることなくシームレスに参照できます」と説明する。

心カテやCT、エコーの所見作成にKada-Reportを活用

Kada-Solutionは、高速DICOM動画サーバ「Kada-Serve」、マルチモダリティDICOM動画ビューワ「Kada-View」、Kada-Reportなどから構成される。動画参照のレスポンスの速さや使い勝手の良さを評価して開院時から活用してきたが、ハイブリッド手術室などの増設に合わせて、透視画像の記録・配信を行う「Kada-Rec」、手術映像収録配信システム「Kada-OR」などを拡張するなどバージョンアップを重ねている。近藤氏は、「映像や透視画像はブラウザでの参照が可能になっており、画像のマトリクスビューワを含めて院内のどこからでも手術や心カテの進捗状況が把握できます」と説明する。
Kada-Reportは、心カテの検査・治療や心エコー検査などのレポート作成を行うもので、同院では心カテの診療記録のほか、CT、心エコーなどの技師レポートの作成に使用している。被ばく線量、血管の狭窄率、石灰化などの数値を入力する。近藤氏は、「計測結果などの数値の入力が中心ですが、項目の選択やプルダウンメニューなどで入力が簡単にできます。現場の運用に合わせて要望を出し、使いやすいようにカスタマイズしてもらっています。循環器関連は手技やデバイスの進化が著しいため、項目の追加や変更が容易に行えるFileMakerのメリットが生かされていると思います」と述べる。同院では、CT、MRIに関しては診療放射線技師が画像解析に加えて解析レポートの作成も行う。
近藤氏は、「検査して画像作成で終わりではなく、計測や解析などをレポートとして残すところまで技師の業務として責任を持って行っています」と話す。同院の検査・治療件数は、心カテ検査・治療はアブレーションを含めて1日平均10件前後、CTは1日約50件、心エコーは1日50件以上となっている。

CIEDsの遠隔モニタリングの拡大で業務負担が増大

同院では、CIEDsの新規植込み患者は年間約100人。CIEDs植込み術後には、定期的にデバイスや患者の状態をチェックする患者管理が必要となる。近年、機器や通信環境の進化によって、在宅でデバイスの状態をチェックできる遠隔モニタリングが可能になった。現在、約750人のCIEDs患者のうち、550人が遠隔モニタリングを行っている。
遠隔モニタリングでは、患者宅からCIEDsのデータをインターネット上のデバイスメーカーのサーバに転送、医療機関側はオンラインでアクセスしてデータチェックでき、これによって患者やデバイスの状態を迅速に把握でき、安全性の向上、病院受診の負担軽減などのメリットがある。
その一方で、医療機関側では遠隔データの定期的な収集と管理が必要で、業務の負荷が増えているのが現状だ。ネックとなるのが、CIEDsから送信されたデータがデバイスメーカーごと(5社)のサーバに保存されているので、データチェックには各社のサーバにアクセスする必要があることだ。同院で遠隔モニタリングを担当する田村氏は、「外部サイトへのアクセスには電子カルテとは別の端末が必要で、その上で各社のサイトに個別にアクセスして数値を確認し、電子カルテ側の端末にデータを手入力していました。ネットでのアクセスや転記に時間がかかり、非常に手間がかかる作業になっていました」と振り返る。
また、遠隔データはFileMakerで自作したシステムで管理していたが、「植込み時の情報はKada-Report、外来でのプログラマーのデータはPDFなど、CIEDsに関する情報が分散していることも業務を煩雑にしていました」(田村氏)と言う。

「遠隔モニタリング連携」でCIEDs患者を統合管理

同院では、2024年6月にKada-Reportのオプション機能である遠隔モニタリング連携を導入した(図1)。導入の経緯を平田氏は、「遠隔モニタリング加算の診療報酬改定もあって遠隔モニタリングの患者数が増えたことから、関連業務の煩雑さをなんとかしたいと考えていました。以前から使い慣れているKada-Reportのオプション機能としてモニタリングが提供されていたことから採用に至りました」と話す。
遠隔モニタリング連携では、インターネット接続可能なPCにデバイスメーカーの取り込み用アプリをインストールし、各社のデータをHL7形式で自動でダウンロード。取り込んだデータはファイアウォールを挟んで接続したKada-Reportのサーバに転送され、各数値データがKada-Reportに自動で反映される(図2)。HL7データには、デバイスレポートのPDFもバイナリデータとして埋め込まれているため、展開して一括管理できる(図3)。Kada-Reportで作成したデバイスサマリーレポート(図4)も含めて、電子カルテから閲覧できるようになっている。田村氏は遠隔モニタリング連携について、「ボタンをクリックするだけでデータが取り込まれ、各社のサイトにアクセスする手間がなくなり、業務の負担が軽減されました。以前は1日で50〜100人程度のデータを取り込むのが精一杯でしたが、遠隔モニタリング連携導入後は1日200人のデータを余裕で処理できています」と評価する。
また、外来チェックの際は、遠隔モニタリング連携から過去2回分の履歴を印刷したシートを使って行っている。平田氏は、「外来には端末を参照できない場所もあるので、チェックシートを印刷して持参しています。過去データを印字することで、測定値の大幅な変化をその場で判断できます。これはこちらから要望してカスタマイズしてもらいました」と言う。
遠隔モニタリング連携では、Kada-Reportのほかのデータベースと連携した運用が可能になっている。田村氏は、「デバイスの植込み、遠隔管理、外来フォローなどCIEDs患者に必要な業務が遠隔モニタリング連携だけで完結でき、業務の手間が半減しました。遠隔でない患者も一元管理でき、心カテのデータベースとリンクして植込み時の情報を参照できますし、植込み時に遠隔モニタリングのデータを参照するなど情報を相互に有効活用できます」と述べる。

■循環器向けレポーティングシステム「Kada-Report」の「植込みデバイス遠隔モニタリング連携」

図1 遠隔モニタリング患者情報基本画面
図2 遠隔モニタリングの測定データ確認画面(1):HL7データの測定データを自動取り込み
図3 遠隔モニタリングの測定データ確認画面(2):バイナリデータで埋め込まれたPDFを展開して表示
図4 植込みデバイス遠隔モニタリング連携で作成したデバイスサマリーレポート

遠隔モニタリング業務に合わせて院内での利用を拡大

平田氏は、「遠隔モニタリング連携でCIEDs患者への対応が広がったことで従来の動画ネットワーク参照以外の場所での利用も増えているので、遠隔モニタリングのデータを利用できる端末を増やしたいですね」と言う。近藤氏はKadaシリーズへの期待について、「画像やレポートの管理システムとしても、治療がメインとなる心カテなど循環器領域では静止画のPACSではなく、動画ネットワークがその中核となると期待しているので、今後も機能や使い勝手の向上を続けてほしいと思います」と述べる。
華岡青洲の理念を受け継ぐ病院の診療を、ローコード開発プラットフォームClaris FileMakerのメリットを生かしたKada-Solutionが支えている。

左から田村 氏、近藤 氏、平田 氏

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